森林を相続したら最初にすべきこと

所有者不明の山林が増えている

親から不動産を相続した際、相続した不動産が宅地や住宅だけとは限りません。
中には山林など、相続後、処理に困る不動産も含まれていることは往々にしてあることです。
ここ最近、弊社に寄せられた相続のご相談のなかでも、数件、相続財産に山林が含まれているケースがありました。
相続するお子さんたちは、山林の場所も状態も、全くわからないとのことでした。
相続人に山林についての情報が全く無いことは珍しいことではないようです。

今、日本中で所有者がわからない山林が増えています。
山林も、相続すると所有者としての責任が発生します。
知らないでは済まされません。
所有者として管理責任は果たさなければなりません。

山林を相続したらまず届出

山林を相続した場合、まず最初にやらなければならないことがあります。
それは所有者変更の届出を行うことです。
山林は森林法という法律が適用され、森林法により森林の土地の所有者届出書を提出することが定められています。
届出は、相続開始の日から90日以内に相続した山林のある市町村の長に対して行います。

森林法 (森林の土地の所有者となつた旨の届出等)
第十条の七の二  地域森林計画の対象となつている民有林について、新たに当該森林の土地の所有者となつた者は、農林水産省令で定める手続に従い、市町村の長にその旨を届け出なければならない。ただし、国土利用計画法 (昭和四十九年法律第九十二号)第二十三条第一項 の規定による届出をしたときは、この限りでない。

ここでの森林とは、地域森林計画の対象となっている森林を指します。
所有する山林が地域森林計画の対象となる森林に該当するかどうかは、市役所や農林事務所などの担当窓口でわかります。
国有林以外、民有林の大半が地域森林計画の森林に該当し、届出が必要になるようです。

森林とはわかりやすく言うと樹木が生い茂っている森や山のことを言います。
森林法での定義は以下の通りです。
不動産登記の地目が山林、保安林になっていなくても、現況で判断します。

森林法 (定義)
第二条  この法律において「森林」とは、左に掲げるものをいう。但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
一  木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹
二  前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地

届出は所有者変更の都度行わなければならない

注意しなければならないのは、森林の土地の所有者届出書は、所有者の変更がある場合、その都度、届出なければならないという点です。
被相続人が死亡した場合、その財産は法定相続人が共同相続します。

民法 (共同相続の効力)
第八百九十八条  相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

まず、法定相続人全員の届出が必要になるということです。
相続開始の日から90日以内に届出が必要になります。
相続開始の日とは、被相続人が死亡したときです。

遺産分割協議がまとまり、山林を相続する相続人が変わった場合、ここでも届出が必要となります。
民法では、遺産分割協議がまとまると、相続開始のときに遡って遺産分割の効力が生じますが、森林法は民法とは異なっています。
相続直後はいろいろとバタついているはずですが、法律どおり届出は行っておくべきでしょう。

ちなみに、私の父も数十年前に購入した山林を所有しています。
それも北海道の釧路市に。
どうやら原野商法にひかかったようです。
本人も行ったことがないらしく、当然、私が知るはずはありません。
これもおそらくは地域森林計画の対象となっていると思われます。
いずれは私も森林法の届出を行わなければならないようです。
しかし、北海道は遠い・・・
郵送でできるものなのでしょうか?
時間のあるときに調べてみようと思います。

菊池 英司
不動産コンサルタント、FPとして主に個別相談、セミナー講師を中心に活動中。 住宅の購入サポート、住宅ローン相談を中心に、個人の所有する不動産、住宅に関するサービスを提供している。空家管理業務を2008年から開始し、早くから空家問題に取り組んでいる。