賃貸マンションと分譲マンションの大きな差は何か?
と聞かれたら、私は遮音性能を挙げます。
上下の音はスラブ厚(上階と下階の間にあるコンクリートの厚さ)、横との音は界壁の厚さと構造、外部からの音はサッシ等、それぞれの構造に左右されます。
特に、入居者間のトラブルになりやすいのが、上下の音です。
スラブ厚は、重要な要素です。
スラブ厚は、以下の数値が一般的な水準です。
賃貸住宅のスラブ厚 150㎜~180㎜
分譲マンションのスラブ厚 200㎜以上
最近の分譲マンションでは、スラブ厚は厚めです。
賃貸マンションは、賃貸マンション所有者のイニシャルコストを抑えるため、どうしても薄くなります。
150mm程度が一般的です。
分譲マンションは、通常、そこに住む人がオーナーです。
当然、快適性が重視されます。
分譲マンションの購入者は、遮音性能について、構造などを詳しく確認しています。
分譲業者側は、より売りやすくするため、遮音性能の向上にも力が入ります。
一方、賃貸マンションは、費用対効果が重視されます。
スラブ厚を厚くし、上下階の遮音性能を上げても、家賃への上乗せは期待できません。
内装や設備など、家賃に反映しやすい部分、見た目にお金を割く方が費用対効果に優れています。
アピールしずらく、目で見てわかりにくい遮音性能は、クレームにならない程度でとどめてしまうことが多くなります。
現在、すでに住宅は余っています。
住宅のストックは積み上げられており、世帯数よりも多くなっています。
空家、空室が増えており、政府は空家対策に本腰を入れ始めました。
そんな状況下でも、住宅の着工件数は大きく減少しておらず、新築が供給され続けています。
特に、賃貸住宅の着工が伸びています。
理由は、相続税対策で賃貸住宅を建設する方が増えたことと、サラリーマンなどに向けて売却する投資用マンションの分譲が堅調だからです。
つまり、増えているのは賃貸物件が中心であると言えます。
分譲マンションなど持ち家だった物件も、相続など様々な理由から、賃貸市場にかなりの戸数が流れてきています。
その傾向は今後も継続し、増加していきます。
賃貸住宅として建設されたマンションより、スラブ厚も厚く、遮音性能や設備が優れた分譲マンションが賃貸市場に供給されるわけです。
賃料は下落傾向が強くなります。
インフレにでもならない限り下がり続けます。
需給バランスが崩れているからです。
すでに賃貸住宅の稼働率はかなり低くなっています。
そのため、質の高い物件であっても、簡単には賃借人を見つけることができません。
賃貸派の住人たちにとって、上質な賃貸物件を割安に借りることができるよい環境になっていきます。
反対に、大家さん側にとっては、ライバルが増えて、ますます経営が難しい状況になっていきます。
多くの大家さんが経営難から破たんし、物件を手放すことになるはずです。
少子化による人口減はまだ始まったばかりです。
今後、ますます賃貸市場に空室が増えていくのはまちがいありません。
賃貸住宅を借りる際には、まずは質の高い分譲貸し物件を探してみて、賃料の交渉をしてみるとよいかと思います。