リゾート開発の問題が自然破壊だけではない例

産経新聞に、沖縄県宮古島の水不足問題についての記事が出ていました。

沖縄・宮古島でリゾート開発暗雲 観光客、宿泊施設増加で水不足の推計』(産経新聞の記事)

リゾート開発が主な原因で水道の供給能力を上回る可能性があるそうです。リゾート開発によって、自然が破壊され、景観が損なわれることが問題になることはよくあるのですが、水不足については聞いたことがありません。しかし、当然、考えられる問題です。

本来、島の人口に合わせて水道の供給能力は計画されています。そこに急速にリゾート開発が進めば当然に供給能力を超える可能性が出てきます。特にホテルはプール、浴場など水を使う量が多く、大規模なホテルが1棟建つだけでかなりの水を使います。普通の住宅とは比べようもありません。

宮古島は、近年、リゾート開発が進み、土地の価格が高騰し、家賃も高くなったとニュースで見たことがあります。リゾート開発の問題は、自然破壊、景観に加えて、地元の人々の生活への影響が大きいこともあらためて理解しました。

宮古島市の統計を見たところ、島の人口は平成元年57,882人。令和4年55,539人。減少はしているものの、今の日本の地方で、しかも離島でここまでしか減少していません。島の外からの流入があると思われます。その人たちはリゾート開発でできたホテルの従業員とその家族も考えられます。また、最近では外国人も増えているようです。宮古島市の人口統計の発表には、外国人の人数も記載されています。最初に記載がある平成24年時点では217人だった外国人は、令和4年の統計では633人に増加しています。これからもこの傾向は続くと予想できます。

人口を維持するためには外から人を受け入れる必要があります。宮古島の場合には、リゾート開発があってこそです。水不足になる前に、水道供給能力を上げるための投資は避けられないでしょう。島にとってリゾート開発を制限なく受け入れ続ける方がよいのか、それとも、島の住民が静かに暮らせるようにある程度制限する方がよいのか、今後、そういう議論が活発になりかもしれません。

菊池 英司
不動産コンサルタント、FPとして主に個別相談、セミナー講師を中心に活動中。 住宅の購入サポート、住宅ローン相談を中心に、個人の所有する不動産、住宅に関するサービスを提供している。空家管理業務を2009年から開始し、早くから空家問題に取り組んでいる。