積水ハウス、国立市で完成間近のマンションを解体

積水ハウスは、国立市で完成間近だった分譲マンション「グランドメゾン国立富士見通り」(10階建て、総戸数18戸)を解体するそうです。
理由は、景観への配慮が足りなかったためです。
通常、景観の問題で建物を解体することはありません。
珍しいケースです。
大変驚きました。

朝日新聞デジタルの記事
国立市のマンション、完成間近で解体へ 積水ハウスが「廃止届」提出

景観については、建築確認申請の前に、景観条例に基づく届出制度があり、建築前に、景観形成基準に適合しているかどうかの審査があります。景観に影響があるような場合、変更するように指導、勧告されます。


積水ハウスは事前に景観について届け出をして、建築確認申請手続きに進み、着工しており、何ら法的に違反していないはずです。
富士山の眺望について、地元の住民からかなり強く反対されたことで自主的に解体することを決めたわけです。

今回のケースは少なからず今後に影響がありそうです。
私が考える今後の予想はつぎのとおりです。

今後の予想
・国立市が富士見通り沿いに眺望に関する新たな景観規制を設ける(高さ制限)
・富士見通り沿いの高さが制限され、マンション用地としての評価が下がるこ(土地取引価格への影響)
・マンションデベロッパーが眺望による高さ制限を警戒する
・全国の自治体で眺望に関する高さ制限等を検討する

神戸市(眺望景観形成地域)や京都市(眺望空間保全区域)では既に眺望による高さ制限がありますが、全国的には眺望に関する制限はまだ少ないように思います。
観光地ではなくても、今回の国立市のように、地元の住民にとって生活の一部となっている眺望を維持するため、制限が検討される流れができるかもしれません。

菊池 英司
不動産コンサルタント、FPとして主に個別相談、セミナー講師を中心に活動中。 住宅の購入サポート、住宅ローン相談を中心に、個人の所有する不動産、住宅に関するサービスを提供している。空家管理業務を2009年から開始し、早くから空家問題に取り組んでいる。