不動産投資に失敗する3つの要素とは

最近、不動産投資に関してのご相談が多くなりました。
不動産投資に関するご相談は大きく二つに分けることができます。

一つは、これから不動産に投資したいという方。
株式投資において、アベノミクス相場で大きな利益を得た方がいらっしゃったということもあり、資金運用の一手段として、不動産投資に興味を持たれる方が増えています。

もう一つは、不動産投資の結果、年間収支が赤字となってしまい、家計を圧迫しているという方。
不動産投資に失敗した方です。
こちらのご相談については、景気とか関係なく、常にご相談が多いです。

今まで、不動産投資に失敗した方からのご相談で得た情報を分析すると、失敗するパターンが見えてきます。
不動産投資に失敗する要素を3つにまとめてみました。

1.資金計画に無理がある

どんな優良物件でも、資金計画がだめなら失敗します。
極端に自己資金が少ない場合、かなりの確率で不動産投資に失敗します。
不動産投資はレバレッジが効くことが魅力の一つです。
しかし、レバレッジを効かせても、月々のキャッシュフローの金額が少なければ、投資する価値がありません。
新築の投資用マンションを全額融資で購入し、さらに家賃保証とか借り上げという名目で月々の利益を持って行かれるパターンが失敗する王道パターンです。
レバレッジを効かせすぎるとかなりのハイリスクになることを認識しなければなりません。

2.投資対象の不動産を分析していない

不動産投資で失敗する人の特徴としては、投資対象の不動産をろくに分析していないということが挙げられます。
なぜその不動産に投資したのかを聞いても、理由が語れないのです。
数千万円もするような投資商品を見てもいない、不動産業者の出してきた数字やレポートを鵜呑みにして、自ら分析を行っていない、これでは失敗するのは当たり前です。

不動産の価値を大きく左右するのは、立地条件です。
好立地、高利回りを求めて投資物件を探すことになります。
しかし、一般的に、好立地で利回りの高い物件を取得するのは困難です。
立地条件と利回りの条件に妥協し、それぞれのバランスを見ながら、投資物件を探さなくてはなりません。
立地条件などの条件が悪くなると、高利回りが期待できますが、ハイリスクとなります。
要はどの程度までならリスクを許容できるかです。

駅からの距離など交通の利便性、築年数、周囲の賃貸マーケット、周囲の住環境、周辺の利便施設、嫌悪施設の有無など、かなり詳細な分析を積み重ねてから投資判断をしなければなりません。

不動産投資で成功している人は、この分析という過程に熱心な方が多いです。
そのうち、成功体験が積み重なってくると、自分なりの勝ちパターンが出来てくるようです。

3.重い『不動産が欲しい病』に罹っている

とにかく早く不動産投資をしないと損をしているような気がしてならない、そう思ってはいませんか?
もしそうなら『不動産が欲しい病』を患っているかもしれません。
自分で立ち直ってもらうしか治す方法はありません。
冷静な投資判断ができない状態であれば、一度、不動産投資は白紙に戻すべきでしょう。

焦るあまりに買える物件が出てきたら思わず手を出してしまう。
これが不動産投資の失敗につながります。

不動産投資においては、不動産に対する分析力、冷静な判断力を磨くことが重要です。
焦って目の前にぶら下がった買える物件を買わないように。

菊池 英司
不動産コンサルタント、FPとして主に個別相談、セミナー講師を中心に活動中。 住宅の購入サポート、住宅ローン相談を中心に、個人の所有する不動産、住宅に関するサービスを提供している。空家管理業務を2009年から開始し、早くから空家問題に取り組んでいる。