土砂災害は身近なもの

5日、神奈川県逗子市で斜面崩落に巻き込まれ、18歳の女子高校生が亡くなりました。台風や集中豪雨、地震があったわけでもないのに急に斜面が崩落しました。崩壊した斜面は民有地であり、土砂災害警戒区域に指定された斜面でした。

土砂災害警戒区域はイエローゾーンとも言われる区域であり、行政はその危険性をハザードマップなどにより市民に知らせています。しかし、そこに行政が積極的にお金をかけて対策工事をすることはなく、あくまでも知らせるだけです。民有地なのでその管理は土地所有者です。対策工事を行うかどうかは所有者しだいです。一般的には土地所有者が崩壊を防ぐために積極的に工事を行うことはありません。数千万円もの工事費がかかることも多く、使い物にならない斜面地にお金をかけられない、かけたくないからです。

私の住む神戸市にも多くの危険な斜面があり、市民がその付近を日常的に通っています。身近な危険ですが、斜面崩壊の危険性を認識している人はほとんどいません。斜面崩壊の前兆は知識のない人にはわからないでしょうし、今回の逗子市のケースのように事前に前兆がとらえられないことも多いと思われます。

住まい選びの際にはハザードマップを見て通勤、通学のルートに急斜面がないかを確認しましょう。出来るだけ近寄らなくても済むことか身を守るうえで大事です。

菊池 英司
不動産コンサルタント、FPとして主に個別相談、セミナー講師を中心に活動中。 住宅の購入サポート、住宅ローン相談を中心に、個人の所有する不動産、住宅に関するサービスを提供している。空家管理業務を2009年から開始し、早くから空家問題に取り組んでいる。