2021年6月25日に大阪市西成区天下茶屋東2丁目で起きた住宅崩落について。
この事故について、車のラジオで聞いたのですが、家が崩落するなんてにわかに信じがたい内容でした。
家に帰ってニュースを確認し、その場所についていろいろ確認したところ、納得できました。
今回の事故が起きた場所は、上町台地の端。崩落したのは、台地の斜面に古い石積擁壁で造られた宅地でした。
台地の端は、土地が崩落しやすく、危険な場所であり、住宅地には向かない場所です。
そこに擁壁で宅地を作ったとしても、擁壁のさらに下の地盤じたいがすべりやすい地盤なので、擁壁だけでは安心できません。
上町台地のすぐ西側には、活断層も走っています。地震の揺れで宅地の崩落が起こる可能性もある場所でした。
崩落事故となった宅地の擁壁は、古い石積擁壁であり、現在の擁壁構造の基準には不適合な擁壁です。
擁壁には水抜き穴もなく、少しずつ擁壁の耐力が落ち石と石の間に隙間ができていたようです。
たとえ、石積みの隙間をふさいだとしても、すでに石積の裏側は危険な状況にあったのではないかと思われます。
このような危険な場所に、古い不適格擁壁で造られた宅地は全国中にたくさんあります。
その危険性は、ハザードマップなどで徐々に明らかになってきていますが、古くからその地に住んでいる人には、わが家であり簡単には離れることはできません。
古い擁壁をやりかえるとなると、工事代が数千万円になり、経済的に対応できる人はごくわずかでしかありません。
そのような土地にある古い家も、所有者が高齢化し、亡くなるなどして空き家になったり、売却される時期になっています。
中古住宅の購入を検討する際には、値段の安さに惑わされることなく、地盤のこと、防災上の問題などをしっかりと確認した方がよいでしょう。
安い家には、それなりの理由があります。不動産に掘り出し物はありません。このことを念頭に置いて中古住宅の購入を検討すべきです。