どんぐり

どんぐりを育てて防災

ヤフーの記事にとても興味深い取り組みをしている人の記事がありました。どんぐりを育てるキットを1万円以上で売るビジネスです。高い、そういう感想になりますが、これがとてもよくできたビジネスなのです。「MODRINAE(戻り苗)」という商品です。

このビジネス、林業の発展、防災の2つの目的があります。どんぐりの育成キットを購入した人に苗を育ててもらい、苗が育ったら送り返してもらって、その苗を植林します。購入者は、観葉植物のように苗を育てる経験をすることができます。また、育てた苗が山に植林されて山林を維持するために役立つという貢献もできるのです。購入者が山林の保全活動に参加できるしくみになっています。よくできたビジネスです。

この「MODRINAE(戻り苗)」という商品を考え販売しているのは、若い女性経営者です。過去に住んでいた町が土砂災害で甚大な被害を受けた経験があり、防災について学び、山林の荒廃、林業の衰退が土砂災害につながっていることを知り、このビジネスを考え出したようです。彼女のように若い人材が一次産業の林業にかかわり、発展に貢献してくれるのは大変心強いですね。

山林の荒廃は土砂災害につながります。安易に伐採して太陽光パネルを並べるのではなく、こういう取り組みを通して、山林の維持につなげていく方がよっぽど環境にやさしいと思います。太陽光発電のために山林を切り開くことは、将来、必ず私たちに大きな害をもたらすことでしょう。木を伐採し、日本産の木を使い、植林し、山林の機能を復活させることで土砂災害の被害を抑える、これが理想です。

菊池 英司
不動産コンサルタント、FPとして主に個別相談、セミナー講師を中心に活動中。 住宅の購入サポート、住宅ローン相談を中心に、個人の所有する不動産、住宅に関するサービスを提供している。空家管理業務を2009年から開始し、早くから空家問題に取り組んでいる。